昨今ある業界で不正な取引の疑いが浮上し世間を騒がせて久しいですが、そもそも不正ならぬ公正な取引とは一体何でしょうか。端的に言えば、皆さんご存じの通り、「嘘やインチキ、紛らわしいのはいけないよね。詐欺的行為もごめんだね」が不正行為で、それらを排除した経済的活動が「公正な取引」になる、と例えられると思います。当然と言えば当然ですが、「公正な取引」は市場経済において重要な原則であり、その背景があるからこそ安心して取引ができる訳です。これまで紆余曲折二転三転右往左往がありました。消費者や事業者の権利と利益は正当に完全に保護されておらず、下記に示すような不正事例が多発したことにより法律の改正や新法発布施行があって漸く今日のバックボーンとなっているのです。
公正取引に関連する主要な法律をいくつか見てみましょう。1.不正競争防止法独占禁止法:本法は、競争の健全性を保つための法律であり、企業間の不正な競争行為を禁止しています。具体的な不正競争行為が列挙されており、民事的規律や刑事罰などが科される仕組みとなっています。2.独占禁止法:本法は主に行政機関(公正取引委員会等)が法執行の担い手となることが規定されており、私的独占の禁止、不当な取引制限(カルテル、入札談合など)の禁止、事業者団体の規制、企業結合の規制、独占的状態の規制、不公正な取引方法の禁止を規定し、公正な競争を促進する法律となっています。3.消費者契約法:本法は、消費者を保護し、不当な取引条件や不誠実な商慣行から消費者を守るための法律です。この法律は、商品やサービスの提供に関する契約に関する規定を含んでいます。4.景品表示法:本法は、広告と商品の表示に関する規制を定めています。虚偽の広告や消費者を誤解させるような表示を禁止し、消費者に正確な情報を提供することを求めています。
これらの法律などによって上記の皆さんの思い「嘘やインチキ、紛らわしいのはいけないよね。詐欺的行為もごめんだね」という信頼が破られたとき、重い罰が科される仕組みになっているのです。
ではこれまでにどんな事件があったのか見てみましょう(公正取引委員会資料より)。1.大手パソコン部品メーカーによる私的独占2.旅行業者によるカルテル3.電気設備工事の入札参加業者による入札談合4.アイスクリーム製造販売業者による再販売価格の拘束5.タクシー事業者による共同の取引所絶6.大手家電販売業者による優越的地位の乱用などなどです。直近では「1円スマホ」が独禁法で禁止している不当廉売に当たる可能性がある、と公正取引委員会が調査結果を公表していますね。
少し前に「競争の番人」という公正取引委員会を舞台にしたテレビドラマが放映されていました。一般人には馴染みの薄いこの行政機関ですが、新米審査官を杏さんが熱演され、正しい取引のあり方が良く理解できとても有意義な内容でした。リアルで見られなかった方も安心してください、DVDや同名の書籍が出ています、もしよかったら是非手に取ってみてください、私ゲキ押しです。
2023年9月12日
「限定品」「今だけ」にとても弱いです
本郷 茂